GARNET CROW PARK

GARNET CROWの歌詞の意味を考察しているブログです。

5曲目『As the Dew』

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今回は、哀愁爆発あぁあぁソング『As the Dew』を深読みしていきたいと思います。

 

As the Dew

AZUKI七

“生憎の雨だけど予定通り出かけましょう
せっかくのDress upも あなたには見えてないし”

雨天決行です。

描写的に主人公は女性で、予定とはデートと考えていいと思います。

相手の男が自分のことをちゃんと見てくれるなら、バキバキに着飾りたいから、予定変更してでも雨の日のデートは避けたのでしょうが……(一張羅が濡れるのイヤ)

どうやら相手の男は、そんな女性のカワイイ努力にもガン無視を決める不届き者のようです。

「どうせオシャレしたってなんの反応もせんしな。傘で隠れても関係ないし、2軍の服でエエから雨でも出かけよ」という投げやりマインドになっています。

ただ、一応相手のためにオシャレすることを考慮するくらいなので、この女性はまだ少しは気持ちがあると思われます。

こっちはまだ好きなのに、向こうが自分に関心なくなっててムカつく!という悩み方です。

この2行で、二人の関係が下り坂(特に相手の男性側の気持ちが冷めてきてる)なのが一発で伝わってきます。

 

“週末の桜通りなら華やいだ白い道
足音響く美術館で懐かしんだSerusier”

「週末ならもっとこの道(桜通り)も華やいでいた」ということは、週末(土日)ではなさそうです。

平日の合間を縫ってデートしているのかもしれません。

「週末のデートだったらもっと時間取れたし、通りも賑やかでイイ雰囲気だったのになぁ」的な不満があるようにも取れます。

デート場所は美術館のようですが、足音が響くくらい静かな場所なので、当然二人の会話はナシです。

会話が面倒くさいから、喋らなくても成立するデートを(たぶん相手の男が)チョイスした可能性があります。

Serusierというのは、ポール・セリュジエという画家の名前です。

その人の絵を見て“懐かしんで”いるので、初見ではないことが分かります。

昔、何回かこの美術館に来たことがあるのかもしれません。

来たことある美術館(使い回しの場所)で無言デートとは、相手の男の士気の低さが伺えます。

品のあるワードが並ぶので、学生カップル的な若者の恋というより、大人の恋ってカンジがしますね。

相手の男は年上で、そこそこ地位がありそうな(高スペックな)印象です。

 

“二度と会わない関係ならば
傷つけ合わずに
甘い想い出の日々と
思うことも出来るけど”

関係はかなり雲行きが怪しいものの、今のところ別れる予定はないようです。

女性はまだ好きな気持ちが残っているが、相手の男は冷めてきていて、その様子を隠そうともしない。

その温度差のせいでケンカも絶えないけど、何だかんだ惰性で付き合い続けている……そんなジメジメした関係が想像できます。

完全に断ち切ろうとしない(二度と会わない関係にはならない)ところを見ると、この二人は結婚している可能性があります。

あるいは、仕事場が一緒というケースなど。

ただのカップルなら、別れて「ハイ、サヨナラ」でいいハズです。

 

“時の流れには逆らえず
色褪せてゆく想いもあり

それでもさめざめと流れてく
涙はちょっといいもんじゃない”

「長年一緒にいれば、想いが色褪せていくのはしょうがない」と頭では分かっている(納得しようとしている)ものの、涙がこぼれてしまっています。

そんな涙を、“ちょっといいもんじゃない”=みっともない、見てられない、と感じています。

サクっとふっ切りたいのでしょうが、泣いてしまうということは、やはりこの女性は完全に気持ちが冷めたわけではないのでしょう。

 

“あぁ…あぁ ひゅるる陽は墜ちて
まだ愛があるみたいじゃない”

あぁ…×2。悩んでいます。

“陽は墜ちて”というフレーズですが、天気は雨のハズなので、そのままの意味というより、「二人の関係が終わっていく」ことの隠喩かもしれません。

あるいは、「頬を流れていく涙」を例えているとも取れます。

そうすると、“まだ愛があるみたいじゃない”というフレーズにも自然に繋がります。

「涙が流れるなんて、まだ愛があるみたいじゃない」ということです。

あると思います。

 

“大切な話だって3分で終わっちゃうし
窓の外でも眺めて華やいでく物思い”

場所がどこか分かりませんが、窓辺でなんか話しているようです。

大切な話が3分で“終わっちゃう”という言い方からも、この女性側としてはもっとちゃんと話し合いたいのでしょう。

ただ、男側はそういうの面倒くさいから、テキトーにかわす。

ありがちな男女の態度の差です。

二度と会わない関係ではないので、別れ話ではなさそうです。

生活の話とか、関係の改善についての話でしょうか。

この二人は結婚していると解釈します。

話が終わったら、また会話もないので窓の外を眺めて思いを巡らせています。

 

“風に乗ってカモメがゆくよ
空の色(あお)ってなんてキレイ
まるで果てのない世界
揺れて…揺れて憧れた”

晴れてるっぽいので、1番の雨天デートとはまた別の日か、天気が変わったかです。

果てしない空を自由に飛び回るカモメを「エエなぁ……」と思いながら眺めています。

今の気まずい関係を全部断ち切って、自由になりたいという気持ちもどこかにあるようです。

 

“人はこの空へ羽ばたける
翼などもてたとしても

行く先を知る術が無いから
心もとなく彷徨うでしょう”

果てのない空へ羽ばたけた(別れて自由になれた)としても、どうせ心もとなくなって彷徨うだろうなという、諦めの心情が出ています。

冷めきった関係を続けるのも辛いし、かといって別れてもその後どうしていいか分からなくて辛いという、クソ2択です。

 

“あぁ…あぁ ひゅるる日は落ちて
家へ帰る道がある”

2番の“日は落ちて”は、そのままの意味だと思われます。

空へ羽ばたいていく空想を巡らせていましたが、結局は家に帰る(冷めきった家庭に戻る)という現実を選ぶようです。

この“家に帰る道がある”というフレーズからも、二人が同じ家に住んでいる(家庭がある)というニュアンスを感じ取ることができます。

子供もいるかもしれません。

さっきの“大切な話”というのも、子供絡みの可能性もあります。

 

“あぁあぁ 人間だもの
あぁあぁ 露と墜ちる”

あぁあぁ言うています。

諦めのため息4連発です。

露=儚く、きえやすいものという意味だと考えると、「人の思いなんて色褪せていくものだから、人間関係も露のような儚いモノになってしまう」的なことを言っていると思われます。

 

“時の流れには逆らえず
色褪せてゆく想いもあり

それでもさめざめと流れてく
涙はちょっといいもんじゃない”
“あぁ…あぁ ひゅるる陽は墜ちて
まだ愛があるみたいじゃない”

繰り返し。

 

まとめると、旦那が冷めきっていることはわかっているものの、自分はまだ気持ちが残っているし簡単に別れるワケにもいかず、かといって関係の改善も見込めずどうしようもないという、八方塞がり詰みソング」ということになります。

 

・ひとこと感想

ピアノがイカす超絶クールな曲で好きです。

漂う哀愁にもどこか品があり、渋いオトナの恋の世界に浸ることができる名曲です。

カッコつけて街を歩きたいときに聞きます。

 

(※本記事の内容はすべて個人的な解釈によるものです)