8曲目『Yellow Moon』
今回は、マジでフラれる5秒前『Yellow Moon』を深読みしていきたいと思います。
Yellow Moon
詞 AZUKI七
“ねぇ ぎゅっと抱きしめていて なぜか不安で仕方ないの
夜の海 波音が静かすぎて怖いよ
ねぇ きっと忘れてしまう君の声その温もりも
伝えられず隠してた幾つもの想いも”
カップルが夜の海に来ていますが、不穏なムードが漂っています。
二人でいるのに主人公に不安や怯えの精神状態が見られたり、言いたいことをわんさか溜め込んでいる様子から、このカップルの関係性が非常に危ういものであることが推察されます。
相手のことを忘れてしまうと言っているので、これから会えなくなる可能性大です。
重苦しい雰囲気でフラレることを察知した主人公が、ガクブルしているシーンだと解釈します。
“愛に嘆くうた溢れてても この気持ちを癒すものがない
誰もが同じように戸惑うものと知るだけ”
悲しいラブソングを聞いたところで、「みんな恋愛でズタボロになっている」という現実に打ちのめされるだけ、とグチっています。
もう恋愛というもの自体に良いイメージが持てなくなっている感じです。
“どうして?無益な愛が溢れ”
フラレることがわかっていても、主人公はまだまだ相手のことがバリバリ好きなようです。
その思いを“無益な愛”という悲惨すぎるワードで表現しています。
「報われない片思いも無意味じゃないヨ!」的なポジティブな考えもありますが、今の主人公はもう完全に絶望モードです。
“あぁ そっと さらってゆくよ描いていた未来の意味も
最初から独りきり笑うよYellow moon”
主人公は相手との将来をマジで考えていたようですが、向こうはそうではなかったようです。
二人の愛が終わるとかいう以前に、「そもそも最初から独りやったんかい」という悲しい事実に、思わず笑ってしまっています。
悲惨すぎる状況に陥ったときの、「もう笑うしかない」というヤツです。
“誰かを愛してしまったなら いつか失う痛みに耐える
その日は必ずやってくるものなのでしょう…”
ガーネットの歌詞によく出てくる、おなじみの無常感です。
とにかく、幸せがいつか終わることにビビり散らします。
“寄り添う君の手が冷たく”
相手は寄り添う姿勢を見せているものの、その手から温もりを感じられないようです。
気持ちが入ってないただのポーズはすぐに伝わるということです。
相手の態度もメンドくさいです。
どうせフるんだから、半端なことしてないでさっさとしなさい。
“もぅずっと探しているね 最後の優しい言葉
同じように冷めていたフリをしてあげましょう
ねぇきっと薄れゆくでしょう この日の胸を刺す痛み
いつかまた思い出せと 佇むよう Yellow moon
照らし出すよう Yellow moon
ただそこに Yellow moon”
相手は、別れ際を穏便にやり過ごせそうな、お祈りメール的テイのいい言葉を探しています。
しかし、主人公は相手がとっくに冷めていたことに気づいているので、控えめに言って地獄です。
見え見えの雑な配慮は逆にウザいのです。
主人公はすべて察した上で、グダグダ足掻かずに「こっちも冷めてた」というオトナな嘘をついて、今日を持ってこの恋にピリオドを打つ構えです。
この日の別れの痛みすら、時間が経てば忘れてしまうという無常さにセンチメンタルになっています。
一つの恋がどうこうより、もう「時の流れ」そのものを憂うスケール感です。
余程月が印象的な夜らしく、別れの夜=Yellow Moonで紐付けて記憶に刻めるレベルのようです。
まとめると、「フラれる直前の歌」です。
・ひとこと感想
歌詞の中で時間の経過や場面変化もなく、フラれる直前の描写と心情のみで構成されていて、非常にシンプルでわかりやすい1曲です。
(※本記事の内容はすべて個人的な解釈によるものです)