GARNET CROW PARK

GARNET CROWの歌詞の意味を考察しているブログです。

4曲目『A crown』

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今回は、日常の幸せ再確認ソング『A crown』を深読みしていきたいと思います。

 

A crown

AZUKI七

“昨日の雨はもういないよ
だけど僕は忘れない
いつもの公園の緑が育つよ”

主人公の男性が、昨日降った雨を忘れないという謎の意思表明をしています。

もう止んだようですし、どうでもいいと思いますが、なぜか覚えておくようです。

“いつもの公園”というフレーズから、長い間この公園近辺に住んでいることが伺えます。

「いつも公園の緑が育っていることに気づく」という、見慣れた景色の些細な変化にも敏感に反応するすばらしい感受性を見せています。

この男性は、昨日の雨公園の緑など、誰もが通り過ぎてしまうような何気ない日常の1コマにも、しっかりと目を向けているようです。

 

“消えてゆく毎日の中
たまには立ち止まってみなきゃ
わからない事もある なんて思う”

どうやら、これまでは慌ただしい日々を送っていた様子が伺えます。

現在は、立ち止まって日常をじっくり味わい直そうというスタンスのようです。

何やら環境や心境の変化があったと思われます。

ひたすら仕事仕事の日々を送っていたアラサーアラフォーのビジネスマンが、ふと我にかえり仙人のようなマインドに変わるケースはよく見られます。

急に瞑想とか始めるようなアレです。

 

“偶然に落ちた
落とし穴”

良くないハプニングに見舞われたことが推察されます。

“偶然”ということで、例えば災害、交通事故、病気、急なリストラ、身内の死etc…、そんな類のモンでしょう。

そのせいで日常が一変し、否応なしに立ち止まることになり、結果今まで気づかなかった色んなことが見えてきた、という一連の流れが浮かんできました。

 

“ひらり 朝日が滑り込んで
僕らをドアの外 送り出すんだ
空を見上げて吸い込んだ 今日は
まだ何処へゆくのかなんて わからないよ”

“僕ら”――もう一人の人物が登場しました。

朝を一緒に迎えているようなので、おそらく一緒に住んでいると思われます。

夫婦か、同棲カップルでしょう。

長いこと住んでいるみたいなので、夫婦の可能性が高そうです。

外へは出るものの、行き先は完全ノープランのようです。

学校や会社等の決まった場所へと通うような、いつもの朝ではないようですね。

休日なのか、あるいは無職の可能性もあります。

 

“何か起こりそうな気がした for days
何も起こらない気もした 今日をいつか
二人で振りかえる時
きっと頭上に輝く
小さな王冠みえる”

これからの予定が何も見えてこず、ガチのマジで白紙状態のようです。

いい大人がここまでスケジュールがまっさらという状況は、そうそうありません。

やはり急に仕事でも失ったんでしょうか。

しかし、「そんな今日をいつか二人で振り返るとき、頭上に小さな王冠が見えるだろう」と言っています。

王冠は恐らくいい意味で使われてると考えられるので、「まあ、こんな状況も後から考えればよかったと思えるだろう」というニュアンスを感じます。

開き直っているのか、これはこれでよかった(忙殺されていた日常を見直すいいキッカケになった)と思っているのか、わりと前向きなようです。

曲調もテンポが良くて明るいし、ある種の清々しさを感じます。

 

“先へと進むだけの旅は
思い出ばかりがふえてく
ココにある幸せをすぐに忘れて”

やはり、何気ない幸せを感じる余裕がない日々だったようです。

時間の流れを感じるので、この二人はそれなりに長く連れ添っている印象を受けます。

 

“木枯らし舞う夕暮れ時刻
たまには手をつないで歩こう
今日の夕食の材料を二人で買いにゆこう”

生活感がエグいので、もうこの二人は夫婦として考えます。

これまでは仕事が忙しいとかで、あまり夫婦間で満足にコミュニケーションが取れていなかったのでしょう。

手を繋いだり、一緒にスーパーに行くようなことすら殆どなかったようです。

新婚期間(ボーナスタイム)を過ぎた夫婦にありがちな現象です。

 

“当たり前を
増やさないで”

幸せも慣れると当たり前になってしまい、何も感じなくなります。

マンネリ化はどうしても完全には避けられないことですが、「もっと何気ない幸せに喜びを感じていこうや」という意思を見せています。

 

“ふわり 夜を泳ぐように
優しく危なげに 絡み合おうよ
時々夢中で私を抱いて
必要だと思わせて安らぐから”

一人称が僕から私に変わっています。

どうやら2番は女性(奥さん)目線の歌詞だったようです。

ここの内容は要するに、「もっと抱けや」ということです。

かなりの愛情不足だったようで、そんな日々に不満が溜めていたことが伺えます。

「必要とされてる感」に飢えています。

「時には我を忘れるレベルで、フガフガ言いながら夢中で求めてこいや」と言っています。

奥さん側の旦那に対する愛情は強く感じます。

 

“何か起こせそうな気がした for days
何も起こせない気もした そんな日には
手探りでゆこう
何にもなくったっていい
すべて終わるわけじゃない”

“何もなくったっていい すべて終わるわけじゃない”というフレーズがあるので、今は何もないふりだし状態のようです。

一度すべてを失うレベルの何かがあったことが伺えます。

旦那が仕事を失ったと勝手に解釈します。

奥さんはわりとポジティブというか、夫婦関係も一緒に再スタートするいい機会だと捉えている感じがします。

 

“ひらり 朝日が滑り込んで
僕らをドアの外 送り出すんだ
空を見上げて吸い込んだ 今日は
まだ何処へゆくのかなんて わからないよ”

“何か起こりそうな気がした for days
何も起こらない気もした 今日をいつか
二人で振りかえる時
きっと頭上に輝く
小さな王冠みえる”

繰り返し。

 

まとめると、「職を失ったことをキッカケに何気ない日常にあった幸せを再確認する旦那と、これを機にすれ違っていた夫婦生活を一から再スタートしようとする奥さんの、マンネリ夫婦生まれ変わりソング」ということになります。

 

・ひとこと感想

インディーズの頃の曲ですが、まだ素朴さが濃く残る歌声と、楽曲の確かなクオリティーが相まって、明らかにただ者ではないオーラが漂っています。

これほど日常的で生活感のある曲を歌っているのに、グループ全体の神秘性というか、浮世離れした雰囲気が消えないのが凄いです。

初期の初々しくてちょっと遠い感じの歌声がメチャクチャ好きです。

 

(※本記事の内容はすべて個人的な解釈によるものです)